今回は金額面に対してのクロージングについてです。
これは前回のクロージングと比べるとまだ分かり易いですね。
買取店スタッフはあなたが買取店を利用した際
あなたが心の中で最低限望む、いえ最低限妥協できる売却金額を知りたがっています。
「買うだけならアホでも出来る。安く買うことが出来て初めて営業マン」
私が入社当時よく言われた言葉です。
詳しくは知りませんがディーラーにもこんな言葉あるんじゃないですかね。
売るだけなら物があるんですから、欲しいと言う人に売ってあげることは誰でも出来ると思います。
本来望んでない人にこちらが売りたい車をあてがう、または値引きに余裕を持たせて売るから営業マン。みたいな。
ユーザーにとってはいい迷惑ですが(笑)
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話が逸れましたが、この”底値で買う”という意識は会社や営業マンによってマチマチです。
ただ、出来る営業マンはこの意識が物凄く高い。
買えばいいなんて考えはありません。
買っても利益を生まなければお給料高くなりませんからね・・・
しかしあなたの顔を見ただけでは金額がおでこに書いてあるわけでもありませんから、いくらがユーザーの底値なのかさっぱり分かりません。
そこで金額のクロージングが必要となります。
では前回の例の続きを見ながら、二つの例を心の声も含めて見比べてみましょう(一応前回の例も載せておきます)
※あくまで動機から時期、決定権がクリアになっていることが前提となります。
状況:お客様の動機が引っ越しということで埼玉県から奈良県に行くことになった。
駐車場の問題で2台を1台に減車するためにお店にご来店。
お客様の希望額は50万円 最低でも30万円 買取可能な金額は60万までとします。
店「いやー奈良は大仏あっていいですよねー自分も修学旅行で行きましたわー!がははは!」
店「あ、民家にも普通に鹿いるんですか?鹿!駄菓子屋に普通に鹿煎餅売ってるんですか?」
店「あ、ちなみに引っ越しってどうするんです?高いですよね引っ越しって!まさかトラック借りて自分達でですか?」
客「そうなんですよーほんと高い!でもうち転勤族で何回か引っ越ししてるんで、前お願いした業者に今回もお願いしようかと思って」
店「あーなるほどやっぱりそうですよねー手慣れたプロにお願いしないと冷蔵庫壊れたりしそうですしね!晩酌出来ませんな!がははは!!」
店「ちなみに引っ越しって埼玉から奈良だと実際どのくらいかかるもんなんです?私も転勤族なんて参考にしたいです!」
客「それがうち子供二人いるんで50万も掛かるんですよ!転勤なら会社から出たのになー自分の転職が理由なんでかなり痛いですよ!」
店「めっちゃでかいですねその出費!私は寂しい一人身なんで半分くらいで済むのかなぁ・・・」
①ダメ営業マンの例
店「では金額出たみたいですのでお伝えしますね・・・今回引っ越しの費用もあるんでそこをカバーする意味で50万でどうでしょうか!?」
(いくらが希望なのか分からないからとりあえず10万くらい余裕持たせて言ってみよ・・・引っ越し50万かかるって言ってたし。このお客さんなら売ってるくれるはず!)
客「!!?50万ですか!なるほど・・・確かに引っ越しの費用はうまくカバー出来ますね・・・」
(おお!意外と金額付くじゃないか!ってかいきなり一発目に50万が出たぞ?もっと高くなるのかな・・・)
店「どうですか?かなり高いと思いますよ!転職のご祝儀だと思って下さいよ!」
(ほらご祝儀だぞ!俺も転職をお祝いしているんだ!頼むうんと言ってくれ!)
客「いや良い金額だとは思うんですが、引っ越し以外にもお金はやっぱりいろいろ掛かるんですよね・・・別のところで55万って言われたし・・・60万なら売りたいです!」
(もうちょっと粘れば金額上がりそうだしここは吹っ掛けるしかない!えーいいったれやー!目指せ60万!思ったより高いしダメなら他行ってみようかな?)
店「えええ!?そんな話あったんですか?55万・・・55万・・・せめてもうちょっとなんとかして貰えませんか・・・?ほんといっぱいいっぱいなんですよ」
(おいおいそんなの先言えよおおおお!でもまだ買えるなんとかなる。60万なんて言ったら店長に怒らせそうだからもうちょい粘ってやる!)
客「まぁ○○さん頑張ってくれてるんでそれじゃもう58万だったらいいですよ」
(この人良い人だし他行くのもめんどくさいしなぁ。結果的に希望額以上になったからまぁいっか!テレビ買おうかなーふふふ)
②出来る営業マンの例
店「すいません金額出るのに時間掛かるみたいなんでちょっとだけ待ってくださいね!外装の状態から判断が難しいみたいで・・・ごめんなさいね」
(さてと、とりあえずいくらくらいで考えてるかまだ判断付かないからちょっと揺さぶってみるかな)
客「そうなんですね・・・やっぱりキズあるとマイナスになっちゃいますもんねぇ・・・お店で直すんですか?」
(やっぱりキズあるとマイナスだよなー結構派手にやっちゃったもんなぁ・・・そんなに判断難しいって結構まずいのかな)
店「いえいえ簡易の直しであればお店でやっちゃうんですけどね、あそこまでだと店で対応し切れないので専門業者に依頼かけてですね。たぶん10万くらいかな?」
(たぶん5~6万で直るだろうけど、キズは古いしもう見積もり取ってたって覚えてないだろ・・・10万くらいでいっとくか。直さないけど)
客「や、やっぱりそのくらいはかかりますよね・・・ははは・・・値段大丈夫かなぁ・・・」
(ああああやっぱりいいいい!でも年式は古くないからなんとかなるよね!なるよね!?)
店「んー例えば引っ越し費用をカバーとかは厳しいかもです。先月同じような車を買取した時30万でしたからね。多少の違いはありますがこのような大きなキズはなかったです」
(他店行ってる様子も無いしこれでどうでるかな?反応次第では修正しないとな・・・)
客「キ、キズ無しで30万ですか・・・さすがにそこから修理費引かれたら引っ越し費用の捻出がまずいんで考えないといけないですね・・・」
(まずいまずい20万くらいかよ・・・引っ越し出来ないじゃん・・・これは母さんから借りるしかないのか・・・)
店「でも引っ越しはしないといけないわけですよね?ちなみに引っ越し費用の手出しは出せてどれくらいなんですか?」
(どうせ引っ越しはするんだろー?限界手出し引き出せれば後は補てんして上げるから早く言ってみなさい。吹っ掛けても顔で分かるからな!)
客「引っ越し費用は手出し出来ても20万なんです・・・最低でもこの車が30万円で売れないとちょっとまずいんで出ない時は少し考えます」
(母さんには言い辛いしなぁ・・・もう少し回ってみて出るとこあるか探してみるしかないかなぁ・・・なんでぶつけちゃったんだろばかばか)
店「分かりました。では本部の返答はまだですが、私もここまでお話しさせて頂きましたから30万でなんとかならないか交渉します。それだったら売って貰えるんですよね?」
(楽勝だったな今回は)
客「30万なら引っ越しはギリギリ出来るんでそうなったら売ります!なんとかなるならお願いします!」
(頼むよ出てくれー!!この年で母さんに金貸してくれは言えないよおおおおお!)
短く済むように調整はしましたがそれでも充分長くなってしまいましたね(笑)
本来はもっとやり取りの応酬があるわけですが、あくまで例のため手短にまとめました。
ポイントとして重要なのが
金額が高い=ユーザー満足度が高いでは無い
ということです。
一見金額が高ければ満足度が上がると思われがちですが事実はまったく異なります。
人間誰しも・・・とは言いませんが、心の中で考えている以上の金額が出ると余計な欲が出ます。
「あれ?もっと高くなるんじゃね?」と・・・
このパターンは本当に数多く見ました。
2~3万くらいになればと思っていた車がいきなり20万って言われたらビビりますよね?
満足を通り越して実際の相場はいくらなんだ?って思いますよね?
極端な話ですがこうなります。
買える車が買えなくなるパターンの典型ですね。
逆に下限を頑張って出す(頑張った感を出す)ことによってユーザー満足度は一気に向上します。
今回の例は結果的に両方共買取が成立していますが、売却後の感想を付け加えれば
①は「まぁしょうがないか」
②は「ありがとうございます!」
流れからいけばこんな感じでしょう。
不思議でよね①の例のが断然高い売却なのに。
そしてこれを理解している営業マンは値段で車を買おうとしません。
あくまで満足度を上げるための商談を行い、顧客を作り、リピーターの増加を狙おうとします。
そのために冒頭でお話しした「最低限妥協できる売却金額」が一体どこなのか。
これを知るためのクロージングをあの手この手と仕掛けてきます。
このクロージングに気付き回避が出来れば高価買取により繋げやすくなるのですが・・・
口頭だけで行うクロージングはそれなりに難易度が高く、ある程度経験ある営業マンが主に使用してきます。
世間話と織り交ぜて仕掛けられますのでここまで説明しておいてあれですが
素人で完全回避はたぶん無理です・・・(笑)
でも大丈夫!
営業マンの大半は初級~中級レベルですから!(経験からのイメージですが)
なので次回は中級営業マンがよく使う「ツール」についてご解説していきます。
一番商談時に出てくる頻度が高く、そして「物」が出てくるので簡単にクロージングを掛けられていることが分かります。
攻略は出来ますのでぜひ学んで活かして頂き・・・たいっ!