今回は、ご相談を頂く方の中でもチラホラと出てくるカーシェアリング。
その中でも個人間カーシェアリングの危険性と、盗難リスクについて触れていこうと思います。
「貸したらぶつけられた」「車を貸したら返ってこない」なんていうのはまだ序の口(全然良くはないけど)
最悪現金化されて車そのものを失う可能性がありますので、個人間カーシェアリングに興味のある方はご注意頂くとともに、取っておくべき対策を良くご覧ください。
いくつかこの手の注意喚起しているサイトは見てみましたけど、ここまで突っ込んだ内容はたぶん今のところありません。
個人間カーシェアリングとは?
法人運営で会員が特定車両を共有する方式とは違い、個人が車を使わない時間に別の個人へ有料で貸し出すという形態を取ったシェアリング方法です。
個人の貸し出すレンタカーのような扱いですが、個人間では法整備がまだ進んでいないため、特に許可、申請を行うこと無く合法的に有料で貸し出すことが可能です。
基本的には個人間カーシェアリングの場を提供するサイト(アプリ)を通して貸し出すのが一般的。
親戚に車を貸す、友人に車を貸すの延長にあるサービスと思っておきましょう。
なぜ危険なのか?
最も重要なのは見ず知らずの他人に貸すということでしょう。
親戚や友人ならその人となりを知って貸し出せる、逆に断ることも出来ますが、信用が0の相手にお金という対価で貸し出す必要が出てきます。
そしてその中のほんの一部に、いつでもどこかに逃げてしまうような悪い考えを持った人間がどうしても混ざります。
今までも「借りパク」されて車が返ってこないという、民事で収まる範疇のトラブルはチラホラと聞いており、そんな中で今回出てきたのがコチラのニュース。
▷Yahooニュース:高級車をカーシェアリングで売却 逮捕
しっかり現金化までされて刑事事件に発展しちゃってますね。
別サイトではこのような事例が相次いで発生しているとのことですから、個人間カーシェアリングの穴が浮き彫りになってきております。
盗難、現金化までの流れを予測してみる
個人間カーシェアリングを利用する中でどういった回避策が取れるのか。
それを検討するため、車の現金化の流れが一通り分かっている買取屋がどのような流れで現金化されたのかを予測してみます。
個人間カーシェアリングで副業、お小遣い稼ぎをされている方は良くご覧ください。
個人間カーシェアリングはリスクの大半があなたに来てしまいますので、可能な限りの回避策を取っていかないといけません。
【流れ(ただし予測)】
最初から悪意を持って借りるため、適当な偽造免許証を用意する(車を借りる際の個人証明用)
⇓
極力現金化の旨味が出るよう高額車を借りる
⇓
借りたら車内に入っている車検証で、持ち主の住所を確認(高確率でバレる)
※盗難したいほど高い価値=高年式の新しい車=購入から日が浅く、短期間では転居している可能性が下がる
⇓
記載住所の郵便物から本人特定、生年月日を入手
⇓
その内容を元に持ち主の免許証を偽造
⇓
勝手に転居届けを出し、適当な新住所で適当に作った印鑑を使って印鑑証明を登録、印象間証明を発行
⇓
新たに作った本物の実印、印鑑証明、偽造免許証を持って、本人として堂々と車を売却、現金化
合っているかは分かりませんが、こういう流れで勝手に売却したんじゃないかなーと思います。
まぁまだこのやり方じゃユルユルだと思いますけどね。
何かしらその人に関わる公的書類が発行されれば、そこで動いていることがバレちゃいますし。
ただ車屋がその車を買取り、その後オークションなどを通じて第三者へ売却されればもうあとの祭り。
車は返ってきませんから、結局は勝手に現金化した当人に損害請求をする羽目になります。
しかし盗難して現金化するような人に、代金を弁済するほどのお金があるとは思えませんよね。
罪を償わせることは出来たとしても、金銭面は泣き寝入りというパターンも多いかと思います(もしくは盗難保険の適応か)
そして今回のニュースで言えば、売却金額が分かっているという点から車屋に正規で売却していたからまだマシというもの。
これが契約書も名義変更も関係無しにバラされて海外に運ばれてしまっていたら、痕跡が無くなってしまうのでどうしようも無かったでしょう。
ちなみに車を買い取った業者が、「盗難車」と分かって買い取っていれば上記の手順は大幅に少なくなるのですが(要は結託しているパターン)、車屋視点で言えば分かって買い取るというのはかなり考えにくいですね。
盗難事案が発生した場合、しっかり売却時の書類で本人確認、もしくは代理人として本人の了承を得ているのかを確認を書面で残さないと、盗難された被害者に訴えられた時立場が物凄く弱くなります。
「なんで買い取ったんだ?お宅も悪いんだから弁償しろ!」とね。
結託したところでバレればお金か車を返さなきゃいけない。
しかも名義変更などで車検証内容が変われば陸運局経由ですぐバレる。
即バレを回避しようと思えば、名義を変えられない価値の低い金融車としてしか動かせないので、買い取ったところで(盗難したところで)ろくに現金化も出来ない。
なのでわざわざ結託してまでやらない。
と、こうなります。
これが前提での買取を基本どこもしているので、過去に警察にお呼ばれされた私も事情聴取のため呼ばれはしましたが、特に責任を求められておりません。
そして、今回の事件がどうだったかは分かりませんが。
住民票を勝手に取得され、印鑑証明まで作られると、相手によってはやりたい放題やられるので被害は車だけじゃ済まなくなります。
色々なところからお金借りられちゃいますからね・・・
どのような回避策が取れるのか
ここが本題ですね。
個人間カーシェアリングはリスクの大半があなたに来てしまいますので、可能な限りの回避策を取っていかないといけません。
その上で上記の流れから取れる回避策がコチラです。
・役所の「本人通知制度」を利用する
・車の中に「保険証券」は絶対残さない
・借り出す際の身分証明を複数確認する
・外人さんに貸し出す際は必要以上の警戒を
・住民票を別に移しておく
・車に盗難防止用のパーツを付ける
うーんうーん・・・
考えてもまだ現実的なのはこれくらいか・・・?
・役所の「本人通知制度」を利用する
未然に防ぐではなく、早期に被害を確認するという方法ではありますけど、第三者が勝手に公的書類を取得すると通知が来るようにします。
これによって「住民票」を取得されたらすぐに分かるようになるため、「借りパク」程度じゃ中々動かない警察も動かし易くなります。
ただ仮に上記の例で進まれると、「転居届け」の時は通知来ないっぽいんですけどね・・・
まぁ上記のパターンだけが手口とは限りませんから、役所で設定しておいても損は無いと思います。
・車内に「保険証券」は絶対残さない
当初上記の流れから盗難、現金化の流れを予測したものの、偽造免許に必要で車検証には載っていない「持ち主の生年月日」はどこから入手するんだ?と思ってました。
郵便物を漁る、興信所を雇うなど・・・
相手が犯罪者ならやりようはあるにしても手間とコスト、さらなるリスクを背負うのが腑に落ちなかったんですけど、ふと気になって「誰もが車内に入れている保険証券」を覗いてみるとあら不思議。
しっかり生年月日が載っておりました。
私自身の保険証券もそうですし、念のため買い取ったお客さんの車に入っていた保険証券見ても『被保険者』枠に生年月日が載っていたので、ほぼ保険証券には持ち主の生年月日。
あとは仮に購入後に転居して車検証住所と現在住所が違っていても、保険を更新していれば現在住所が載ってしまうことになります。
なので誰かに貸し出す際は保険証券を車の中に絶対に残さない。
これはかなり重要ですね。
自分も乗るわけだし常に車検証と一緒にダッシュボードの中入れておこうなんて考えを持っていると、相手によっては結構な個人情報を抜かれます。
ここを気を付けるだけで生年月日入手が困難になるので、盗難+現金化のリスクはだいぶ下がると思いますよ。
・借り出す際の身分証明を複数確認する
初めから悪意のある人間ほど証拠は残したくないもの。
たぶんスタートから偽装で入ると思うんですよ(今回のニュースでもそうっぽいです)
ただ免許証は偽装しても、保険証は自分自身のまま。
こんなパターンもあると思いますので、突発的に複数の確認を求めるのは有効だと思います。
「今個人間カーシェアの盗難が流行っているので申し訳ない」
とでも言えば普通は納得するでしょうし、納得出来なければそれは怪しい証拠だと思います。
・外人さんに貸し出す際は必要以上の警戒を
これは差別じゃないですからね。
現実的な対策です。
上記の通り、バラされて海外に運ばれたらどうしようもありません。
カーシェアとは関係無い輸出車盗難のあるあるパターンで、コンテナに積まれて永久に行方不明の車になります。
そしてやる人達はどうしたって海外行きなんですから外人さんが多い。
となければ最初からリスクが高いと思っておきましょうというだけです。
・住民票を別に移しておく
回避策にはなるけどちょっと現実的じゃないかなぁ・・・
住民票を相手が推測出来ない場所にしておけば、勝手に転居で印鑑証明作成は出来ません。
が、いざ本当に住民票や印鑑証明が必要な時には激しく手間ですし、ご家族の扶養云々で同居などを記載する書類が出てきた時にも面倒になります。
同市内に実家があるとかであれば、ひとまず実家に移しておいても役所手続きは楽なのであまり支障は無さそうですね。
・車に盗難防止用のパーツを付けておく
これはどちらかというと貸し出した後の事後対策ですね。
仮に車を貸し出して無事帰ってきたとしても、相手によってはその間にスペアキーを作成することが可能です(一部メーカーは簡単に複製出来ません)
なのでハンドルとかタイヤに付ける、車のキーとはまったく連動していないタイプの盗難防止装置を装着しておきます。
上記の通り持ち主の住所は簡単に割り出せる。
となると、油断した1年後とかにサラッとスペアキー持ってそのまま車を盗難なんてこともやろうと思えば出来るわけです。
毎回毎回乗る度に付けて解除してってめんどくさそうですけどね・・・
ただこちらの盗難の方がまだ足は付きにくいでしょうから、警戒心の強い犯罪者に当たるとこんな対策もしておいた方が良いのかなと思います。
というわけで、バラされて海外行きまで考えたら100%回避は無理ゲーかと思わせる個人間カーシェアリング。
ただ普通に乗ってたって盗難を100%回避出来るわけでもありませんし、何事もリスクは大なり小なりあります。
そのリスクと向き合って個人間カーシェアリングをやるかやらないかはあなた次第ですので、やるなら知る限りの手は打っておきましょう。
特に今回のカギは、私が流れを検証する限り警戒心の薄い車の保険証券にあると思っています。
相手が法人ならまだしも、身軽な個人相手で価値ある車なら警戒し過ぎるくらいが丁度良いと思いますので、可能な限り対策をした上で副業、お小遣い稼ぎを頑張って下さいね。
※ちなみに現金化までいかない「借りパク」状態だけでも相当にめんどくさいことになります(しかも相手捕まえられないし)
早速記事にして頂きありがとうございました!
自分の情報を補足しますと、カーシェアで車が行方不明だと保険会社のスタンス次第では「盗難」での車両保険が出ない可能性が多分にあります。盗難による車両保険支払いの条件としては、「車庫や駐車場に正しく駐車しており、かつ施錠等落ち度なく車両管理していたにも関わらず予期せず盗難された場合」のようで、カーシェアというアプリで本人同意のもとで相手に貸したというのでは、「きちんと車両管理していた(鍵貸しちゃってるし)」ことにはならず保険会社としては支払い拒否となったり、逆に保険金詐欺を疑われたりするようです。(実際に盗難を装った保険金詐欺も多いようです)
仕組んだ相手に利用中に盗難されたと言い逃れされたら最悪数百万が消えてローンだけ残るという地獄絵図になります。
そんな中実践している車両側への物理的対策として「ココセコム」がお勧めです。約1000円/月で使えて10回まで居所検索できます。シガー電源も取れますのでダッシュボードやヒューズボックス奥深くに仕込んでおけばまず分かりません。新規ユーザーの場合はそれとなく行き先を聞いておきPCで位置情報調べて整合がとれていれば信用できるユーザーだという具合に使えます。
仮にエンジン切られて給電されなくても1週間くらいは持ちますのでヤバいと思ったらPCで居所検索すれば発信機の位置がピンポイントで分かります。警察に探してもらう場合でも具体的に捜査してもらえますし、仮に東京湾の上にある画像をコピーしておけば保険会社への証拠になりますから盗難としての信ぴょう性を裏付けられます。ボコボコでも何でも車両回収さえできれば車両保険は使えます。
最後に誰でもタダでできる対策としてはアプリサイトに「ココセコムでGPS対策しています」と最初の方に書いておくことです。ちゃんと説明文を読んでいる犯人は敬遠してくれる?ことでしょう。自分の愛車は自分で守りながら楽しみたいものですね。
いえいえ!
TMOさんはご存知だと思いますが、私はそもそも個人間カーシェアリングが出来ない環境なので妄想して回避策練るくらいしか出来ません。
なのでGPSは盲点でした!
これは良い対策ですね!
月1000円とはいえ、収益が生まれる個人間シェアリングの対策費用としてなら充分安いと思いますし、事前に伝えて悪いこと考えている人を敬遠させられるなら効果も高いと思います。
保険も怪しいとなると自己防衛だけが頼みの綱なので、なんとか知恵絞って対策練らないといかんですね。
今回のご意見対策としてかなり有用と感じますので、記事内に追記させて頂きたいと思います!