買取店以外の売却方法第二弾。
今回はオークション代行出品のデメリットとメリットについてです。
まず代行出品が何なのか分からない人もいると思いますのでそのご説明から。
オークション代行出品とは
一般的な車の買取とは、買い取る側がどういった処理方法を取ろうとその前に金額の締結をします。
つまり買い取った側がその車が売れる売れないに関係無く、売主側に過失が無い限りお金を受領出来るということです。
それに対し代行出品とはオークションへの出品を代行業者が行い、売れた金額から代行マージンを差し引いたお金を受け取るというシステムです。
知り合いや親族に中古車屋を経営する人間がいる人は、この方法を取る方も結構いると思います。
またこの代行出品を主軸に経営している車屋もありますね。
私もご要望があれば現在もやっています。
ではオークション代行出品のメリットとデメリットを個人売買と同様に見てみましょう。
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オークション代行出品のメリット
・オークションでの成約金額がはっきりと分かるため、どういった内容でも納得がしやすい。
・通常のオークション出品で買取店が得る利益(買取店の台粗利参照)よりも仲介業者のマージンの方が安いため、通常の買取より高くなる可能性がある。
・商談、交渉が存在しないため、売却までの工程は非常に楽。
・仲介業者が入るため、名義変更、金銭のトラブルが発生しにくい。
メリットはこのような感じでしょうか。
簡単に解説をすると、まずオークション代行出品というのは実際に売れた金額をオープンにすることが大前提です。
そこ偽ったら詐欺ですからね(笑)
つまり商談や交渉といった内容では無く結果が目で見て分かるため、ユーザーにとっては納得し易いわけです。
交渉が苦手な人には一番うれしい部分かもしれませんね。
またオークション代行の仲介業者マージンは、もちろん会社にもよりますが平均5万くらいでしょう。
買取店の台粗利から考えたら・・・
10万以上が当たり前の世界ですから、手数料が5万くらいなら得に感じる人も多いんじゃないですか?
おまけに個人売買とは違い代行業者というプロが介入するので、金銭や名義変更に対してのトラブルもまず発生しません。
オークションがベースとなるため個人売買程の高額売却までは行きませんが、こう見るとメリットも複数有り良さそうな売却方法に見えますね。
ではそんなオークション代行出品のデメリットを見てみましょう。
ちょっと複雑かもしれませんが非常に重要です。
オークション代行出品に興味を持った方はしっかりとご確認下さい。
オークション代行出品のデメリット
・売れなければお金が得られない。
・オークション出品料、成約料、陸送代などが割高設定になっていることが多い。
・消費税について触れられない可能性がある。
・思いの外安く売れてしまう可能性がある。
・安く売れてしまってもキャンセルは利かない。
・オークションルールにあるデメリットはユーザー側に降りかかる
・そもそも代行出品業者はあなたの成約金額を高くしようと思っていない
ではそれぞれ解説していきましょう。
・売れなければお金が得られない。
代行出品の宿命ですね。
事前に金額を締結する通常買取とは違い、売れなければいつまで経ってもお金は受け取れません。
そりゃまぁそうなりますよね・・・
・オークション出品料、成約料、陸送代などが割高設定になっていることが多い
いくつかオークション代行出品を運営しているサイトを見ましたが(といっても検索して上位3サイトですけど)・・・
やはりというか実際の費用より大なり小なり手数料を盛っていますね。
代行出品の手数料を安くしないと依頼が来ない=どこかで補てんをしたい=一般人には見えない手数料を増やす。
こういった方法を取るしかないのでしょう。
うまく全国一律料金とかでごまかしていますけどね(笑)
知り合いや親族など、仲が良い人が仲介に入れば業者が本来支払う手数料で行えるかもしれません。
・消費税について触れられない可能性がある
以前記事にした車の売却に伴う消費税の裏についてまず確認して下さい。
非常に重要ですので。
ここに触れられず大きく損をする可能性があります。
特に多いのが知り合いが車屋というパターン。
代行出品を依頼し、実際の成約データをパソコン上で見せられる。
100万円で売れているから出品手数料、陸送代、代行出品料差し引いて90万な!
これ自体は別に普通ですが、100万円で売れているなら別途8万円の消費税分があなたに戻ります。
出品手数料、陸送代、代行出品料などで10万円が発生しても消費税があるので98万円が本来あなたの手元に戻る金額となります。
ここを騙されて利益にされるということです。
・思いの外安く売れてしまう可能性がある。
・安く売れてしまってもキャンセルは利かない。
・オークションルールにあるデメリットはユーザー側に降りかかる
・代行出品業者はあなたの成約金額を高くしようと思っていない
この4項目はまとめて解説します。
まず言えることは、代行出品とはその名の通り出品手続きを仲介業者が代わりに取るということです。
分かり易く言えば一般人が参加出来ないオークションに参加出来る権利を使わしてあげていると言ったらいいですかね。
だから何かあってもあなたが出品をしているわけですから、トラブルがあっても守れないし、いくらで売れても文句言わないでよ。
これがオークション代行出品の基本スタンスです。
それを踏まえて通常の買取店があなたから買取った車を出品し、成約後、無事必要書類の発送を完了させるまでの流れを確認して下さい。
超重要ですよ!!
通常の買取店 オークション出品の流れ
あなたの車を買取り、無事引き上げる
⇓
高く売れるように内外装のクリーニング
⇓
高く売れるように軽微なキズの加修
⇓
オークション出品票作成
⇓
スタート金額、売り金額、出品コーナー、出品会場の選別
⇓
陸送手配オークション会場へ搬入
⇓
反映後、会場によっては追加画像の登録
⇓
現地調整員の調整を行いオークションで成約
⇓
成約後必要書類の送付(1週間以内)
⇓
落札後通常1週間のクレームが来ないことを確認
⇓
オークションから落札代金の入金があって無事完了
これが今まで散々お話ししてきた買取店の買い取った後の流れです。
ちなみに赤文字の部分は、オークション出品という目的だけならしなくてもいい部分であり、あくまでより高く売れるために行う作業となります。
そして青文字の部分はオークション出品する上で必要不可欠な部分ですが、高く売れるために真剣に考えて行うか適当に行うかで大きく成約金額に影響が出る部分です。
大手では充分に経験を積んだプロ(買取店の店長クラス)が基本的には行う作業であり、会社によってはこの作業に役職制限を掛けているところもあるほど重要項目です。
こう書くと大よそお分かりかと思いますが、オークション代行出品とはあなたが出品をするわけですから
赤文字の項目は一切行われません。
事前にあたなが洗車するくらいが限界でしょう。
そして青文字の部分。
ここはあなたではどうにも出来ない部分ですから仲介業者に依頼をします。
しかし・・・
仲介業者はあなたの車を高くしようとは思ってません。
無事成約となって仲介マージンが入ればいくらで売れてもいいわけですからね。
出品票とは世間一般で言う契約書のような存在です。
例えばナビなど、書いてある部分はその動作まで責任が問われますし、逆に書いて無ければ基本は責任が問われません。
しかし落札を考える人は書かれてない物はあるかどうか、動作するかどうかがが不明のため無いものとして価値を判断します。
ではあなたの車を高くしようとは思っていない業者がその出品票・・・
本気で書くと思いますか?
そもそも・・・
高く売るための出品票を書く能力があると思いますか?
細かく書けば書くほどリスクも増すため、必要最低限の当たり障りのないことしか書きません。
そしてそんなやる気のない出品票の車がオークションにゴロゴロと転がってます。
大体はディーラーですけどね(笑)
当たり前ですがあなたは高く売りたい。
だから仲介業者に聞かれると思います。
「最低でもいくらで売りたいですか?」
あなたはその前に買取店などに行ってれば、買取店で言われた金額と同等くらいの金額は最低でも欲しいと思うでしょう。
そしてこう返されます。
「それでは売れない可能性があります。売れなかった場合でも出品料はかかりますよ?」
詳しく書くと恐ろしく長くなりそうなので簡単な説明になりますが、オークション出品を行う際に「売り切り金額」を設定する必要があります。
しないといくらでも売っていいことになってしまいますからね。
そしてオークションは心理戦なのでこの金額が高いと流札と言い、買い手が付かずとなります。
ひどい仲介業者なら売り切りの設定すらしないで出品をし、確実に売ろうとするでしょうが
まともな会社ならまだ上の質問をし、極力この売り切り金額を下げて貰うように話をします。
しかしこの売り切り金額。
言葉の通りでこの金額以上ならもう売ってもいいという金額です。
成約にならないとマージンが発生しないため、仲介業者の言われるがままに値段を下げ出品すると・・・
やる気がない出品票、雑な仕上げ、買取店が行う高価値を上げる作業を全て省く結果、安い金額で売れてしまう可能性が非常に高くなるわけです。
おまけにオークションのルール上、一度売れてしまったらキャンセルは基本利きません。
無理やりお金で解決する方法もありますが、マージンが無くなるため仲介業者はその方法をまず言わないでしょう。
普通は結構なペナルティ(最大手オークション会社は15万)が発生するため買取店ですらしないですしね。
買取店はその車に合わせて適正な会場選び、その週の出品台数、搬入タイミングから適正なコーナー選択、それに合わせたスタート、売り切りの設定などなど。
それをメインに仕事をしているからこその「プロの仕事」をします。
これはディーラーや小規模中古車店ともまったく質が違います。
また、無事オークションで成約となっても安心は出来ません。
オークションルールにより出品会社は成約から約1週間、落札店からのクレームが来た場合対応しなければなりません。
クレームとは例えば出品票にナビと書いたものの、ナビモニターの開閉がうまく作動しない、内部CDが読み込まないなど細かい部分まで指摘され費用請求が入ります。
だからこそ代行業者はリスクが付き纏うため、リスク回避も含めて出品票が簡素になるわけです。
出品票に記載が無くてもミッションがおかしい、エンジンがおかしいなどでクレームが来ることもありますけどね。
オークション代行出品を否定はしませんが・・・
並の代行業者ではあなたが満足するような成約金額に持っていくことは難しいでしょうし、高く売るためのノウハウが分かっていても僅かな手数料でその作業、リスク、時間を割こうとは思わないでしょう。
それは私も同じです。
以前は大手でもこのオークション代行出品を行う会社はありました。
ただ満足のゆく結果にならない。
もしくは最低希望額を押し通した結果、いつまで経っても成約に至らず複数回の出品料と往復の陸送代金を頂いて車の返却を行い、しかも悲惨な流札データがオークションデータとして残ってしまうため、その後まともな値段で買い取ってくれる業者がいない恐ろしい状況に陥ってました。
満足の行く結果が得られ、業者、ユーザーそれぞれがWinWinの関係になるのであれば、知名度の高い大手が今もこぞってやるのではないのかなと・・・
それが答えな気がする売却方法です。
一応その中でも代行出品に向いている車両の特徴を書いておきます。
参考にして下さい。
・海外輸出車両
車の程度、装備はさほど重要視されず(重要な車もあります)エンジンの型式だけで値段が決まるような車は、仕上げ、出品票が雑でも本来の相場までそれなりに入ります。
・改造車両
相場が不確定になるためチャンスがあります。しかし出品票の影響をかなり受けます。別途お金を払ってでもしっかり書いてくれる人がいれば・・・買取店より高くなる可能性有り。
・旧車、希少車
輸入車も含みます。ホッドロッドや昭和40年代、50年代の車、全国的に流通量が非常に少ない車両は相場は不確定のため買取店より高くなる可能性有り。しかし出品票に気を遣わないと成約後のクレーム率が高いです。
にー様
こんにちは!
昨日の台風21号で、LAA関西会場で車両100台が被災したとのことですが、代理出品した車両がオークション会場でこのような災害に遭い、出品不可や冠水車両(今回は海水による冠水で、水が引いたら火災発生だったらしいです)として価値が変わってしまう状態じゃないとなった場合、保証等はあるのでしょうか?
輸出抹消済みや、名義変更前や任意保険移行済みだと通常の保険は使えないと思います。
もし、記事に出来そうな情報がありましたら嬉しいです。
(有料のオークションノウハウ集に記載済みとかであれば、無理に記事にしなくて大丈夫です。)
こにちは!
この部分は私もまったくと言っていいほど知識が無いためこちらで返答させて頂きます。
まず損害があった場合、普通に考えればオークション会場が保証すると思いますよ。
オークション会場ではそういった保険もありそうですしね(あたり一面雹害なんていったらとんでもない損害になるので)
代行出品している場合なんかは、代行業者を通じてやり取りをするって流れになるんでしょう。
ただどうやって損害額を算定のかな・・・
海水とかなら全損扱いになりそうですけど、一般の保険で算定されるような算出と、輸出なども絡んだ実際の価値ってズレるんで、全損判定食らっても大きな損なんてこともありそうな気がします。
オークション会場らしく、相場から損害額を算定してくれればいいんですけどね。
ちなみにこれは私の予想というか妄想で、まず会場に出品した車が損害に合うなんてことも無いため実際のところはよく分かりません。
お返事ありがとうございます。
代行出品の場合、業者に確認しておいた方が良さそうですね。
そうそうあるケースではありませんが、オークション会場は海沿いも多いみたいなので、津波や高潮の被害も想定した最大限のリスク管理は、やっておいても無駄にならないのではと思いました。
会場被災時の保証有無を聞くだけなら無料でしょうからね。
天変地異等はオークション側は免責されるみたいです。
要は賠償ムリってことです(涙)。
しろくろルーフ様
やはり天災は無保証なんですね。
地震はともかく、台風なら数日前から予想は出来るので万全を期するなら、台風進路付近の会場出品は見送るくらいしかできないんですね。
ちょとこちらにひとまとめに。
しろくろルーフさんのコメントで「マジ!?」と思って規約を引っ張り出してみました。
するとおっしゃる通りで、「天変地異、落雷、火災、異常電流その他の不可抗力に起因する損害」は免責となるようです。
天変地異って言葉がどこまでの範囲かちょっと疑問を感じますが、別のオークション会場の規約も見ると天変地異=自然災害で、対象は地震、台風、浸水、雹害。
ここら辺は免責ということになりますね。
保険なんて甘い世界じゃなかった・・・(笑)
なので成約前に被害に合えば出品側が。
成約後に被害に合えば落札側が泣くしかない内容ですね。
一応予防はしているのか、台風の影響で関西方面のいくつかのオークション会場は臨時休催しています(ただ搬入されている車はそのままだと思われる)
その他気になる内容として
「オークション会場内で出品車両や落札車両に不測の故障、破損等が発生した場合の損害」
こんな免責事項もあります。
検査員が敷地内を移動している際に壊れてもそれは不測の故障でたまたま壊れたから知らん!ってことなんでしょう。
さすがに検査員が運転ミスってぶつけたら話は別だと思いますが・・・
まぁ、今まで10000台以上は出品や落札でオークション利用していますが、一度も自然災害で損害を被ったことはありません。
なんかのパーツ車内に積み込んで出品したら、誰かにパクられてクレームで泣いたくらいです。
自然災害ならどこで車の売り買いしても最低限のリスクはあると思いますので、あまり過敏に気にしてもしょうがないのかなと個人的には思います。