本日は「輸出該当車を自分で一時抹消してから売るのは有りなのか無しなのか」について触れていきます。
本当はQ&Aのまとめ記事に載せとこうと思ったんですけどね。
5行くらいでまとめるには無理があったので、こちらである程度詳しく解説をしていこうと思います。
輸出該当するような車と接点のありそうな方は勉強していってくださいね!
輸出車とは?
車種別専用記事にも載せている海外需要に該当している車全般を指します。
年式やモデルで制限されているタイプも輸出車。
古くなったけど一定の底値がある車も輸出車。
特に該当率が高いのは後者なので、以外と接点のある(あった)方は多いはずです。
海外に運ばれるということは日本の車検はまったく意味をなさなくなりますから、車検切れ間近の車も車検2年付の車も、仕入れたい業者からすれば価値は変わらなくなります(車検に対して付加価値を入れられない)
一時抹消とは?
車検を切る、車からナンバーを外すことを言います。
廃車である永久抹消とはまた別で、一時的に行動を走れなくする手続きですから、また新規で車検を取れば車を走らせることも出来ます。
在庫を並べている車屋に一時抹消されている車は多いですね。
一時抹消をするメリットは
「今後発生する自動車税を止める」
「一時抹消したタイミングから換算して、自動車税月割り分の払い戻しをする」
「一時抹消したタイミングから換算して、自賠責保険の月割り分払い戻しも任意で可能」
主なメリットはこの3点です。
そしてデメリットは当然ですがナンバーが無いので行動を走れなくなります。
海外輸出前提の車なら自分で一時抹消してから売るって有り?
ここからが本題です。
例えばあなたが車検は1年残っている10年落ち、15万kmの車に乗っていたとしましょう。
幸いその車は海外輸出に該当しており、5万kmも10万kmも20万kmも価値が変わらない。
鉄板と言っていいほどの輸出該当車で10万前後の価値があったとします。
そんな車を査定に出し、やれ0円だ、それ1万円だ、ほれ3万円だと・・・
色々な駆け引きがありつつも値段提示を受け、そして5万円という金額で契約をしたとします。
するとあなたが手にする金額は当然のことながら5万円。
上手くいけば海外輸出なので、買い取ったお店や転売先が一時抹消をしてくれて、自動車税を戻しますよというハガキがお自宅に届くかもしれません。
ただそこで終わりです。
契約時に「自動車税の還付委任状」に捺印していれば、自動車税の還付権利も売却先に渡すことになりますので、ご自宅に自動車税を戻しますよというハガキが届くこともありません。
自賠責も車検と連動している重要な必要書類ですから、売却先に持っていかれることになります(要は還付が出来ないということ)
では次に、同じ条件で一時抹消を自らおこなって売却した場合はどうなるでしょう。
買う側は相場を見れば輸出該当車だと分かります。
つまり車検に付加価値がまったく無いことも分かります。
となると1年残っていようが丸々2年残っていようが、価値は10万前後ということで変わりませんので、上記と同じ流れで商談をすれば契約金額も5万円になります。
そして一時抹消が完了している状態なわけですから、自動車税を戻しますよというハガキが自宅に届くことは確定(2月までに一時抹消していれば)
おまけに一時抹消している車であれば自賠責は必要書類に含まれませんので、売り先に渡すこともなく自ら動くことによって自賠責の還付金も手にすることが出来ます。
ご自身で陸運局に行けば一時抹消に掛かる費用は350円程度。
これで車検の残や一時抹消するタイミングにもよりますけど、数万円戻ってくる可能性があることを考えればどちらがお得かは分かりますよね?
だから私は声を大にして言いたいわけです。
輸出条件にガッツリと該当しているようであれば、車検を残したまま売却をしましょうと。
ん?
え?
は?
言ってること違うじゃねーか!
と、思ったそこのあなた。
おっしゃる通りです。
最近真面目な記事や仕事ばかりだったので、たまには遊ばないと死にそうになるんですごめんなさい。
でも答えは変わらず。
このような状況でも車検は残したままの方が良いです。
意味が分からないと思いますので、大きい理由2点をそれぞれ解説しています。
買う側の心象はどうしたって悪い
上記でもお伝えしているように、一時抹消とは公道を走れない状態にすることを言います。
走れないからこそ自動車税の義務も生じなくなります。
となると、売却する場合は敷地内から基本動かせませんので、買取店は出張査定が前提になる上、無事買い取っても引き上げに手間がかかるわけです。
・自賠責を発行して仮ナンバーを用意する(短期の自賠責+仮ナンバー代で地味にお金が掛かる)
・積載車を用意して引き取りに行く(買取店はあまり持っていないしレンタカーだと高い)
・俗に言う「天ぷら」という違うナンバーを封印無しでとりあえずくっ付けて無理やり引き上げる(犯罪)
こんなことをやらないといけなくなるので、上記の例で言えば10万前後の相場に対して5万ならば買います。間違いなく。
しかし仮に7万円となると、車検付きなら買う業者はそれなりにあっても、一時抹消状態ならまず手を引く業者が多数でしょうね。
めんどくさいですから。
めんどくさくても利益が最低限取れるならやるにしても、めんどくさい上に利益まで取れないとなれば、買うメリットも無いということになります。
買取店は自賠責の扱いが特殊
これは内部事情を詳しく知っている人じゃないと分からない内容なので、今後も表に出ることはまず無いでしょう。
買取店は自賠責の扱いが特殊なので、車検を残したままの方が良いですよという結論になります。
細かくお伝えするとかなり長くなるので要点のみお伝えしますが、大手買取店は自賠責の還付を利益勘定していません。
会社で管理していないとも言います。
大半の方はどういうことか意味が分からないと思いますので、先ほどの車検が1年残っている10年経過、15万kmの車を例に軽くお伝えしていきますと・・・
買取店はこの車を5万円で買った場合、仕入れ値は5万円(正確にはリサイクル料差し引き)として帳簿に残します。
そしてオークション転売で売れた場合、売れた金額から経費を差し引き、仕入れ値を差し引き、そして利益を割り出します。
しかしここに自賠責の還付は含まれておらず、一時抹消するかしないかの判断は、私が知る限りそのお店の店長に委ねられているところばかりです。
なので車検が1年残っている10年経過、15万kmの車を輸出確定と判断した場合。
お店で一時抹消して出品するも、車検を残して出品するも基本店長の自由であり、抹消後に自賠責の還付があったとしても会社はその利益を入れろと言ってきません。
仮に言おうとしても店舗側で抹消をしたのか、売却の直前にユーザーが自ら抹消をしたのか誤魔化されると判別が付かないので、徹底した管理は難しいわけです。
重要なのは本社指示で判断しているわけではないという部分で、ここを上手く利用すればこのようなことが出来ます。
車検が1年残っている10年経過、15万kmの車を車検を残したまま売却する場合。
「車検があっても無くても変わらないのであれば一時抹消を今月中にして欲しいです。ついでに自賠責も自分で戻すので一時抹消前提で買い取ってください」
あまり多くはないですけど、実際にこのようなことを言われて買い取ったケースは過去に何度かあります。
本当の狙いが分かっていたかは別として、ある程度詳しい人だから出来る交渉の仕方ですね。
そしてこんなことを言われた買取店はこう考えます。
「輸出だから車検の有る無しで決済額に差は無いし、引き取る時には車検があるなら手間がかかることも無い」
「ならこちらで(他の車と一緒に)抹消だけしてあげて、自賠責を後日返してあげるのも“車が買えるなら”悪くないか・・・」
こんな感じで、一時抹消を自らして売るというデメリットを打ち消しつつ、自ら動くという労力も無くしつつ、自動車税と自賠責の還付だけはきっちり手にすることも可能になってくるわけです。
このやり方を取られることによって損をするのは、ユーザーでも買取店でも無く、担当している営業マンだけ(厳密には買取店も損しているけど割愛)
営業マンの中には自賠責の還付は自分のお小遣いと捉えている人間もいますので、そのような営業マンにあたった場合は
「(お小遣い無くなるから)車検は切ったら買取額安くなりますよ!」
と言われるかもしれません。
ただそんなことを言われても、相場や輸出状況を知っていれば嘘を付いていることなんてすぐ分かりますので、惑わされないように注意しつつ楽と金銭メリットの両立を目指して貰えればと思います。
ちなみにそんなに古くない車の場合は、国内か国外かの見極めが難しくなりますので注意してくださいね。
よほどの過走行や特需タイプでもない限り国内需要の線も残るため、「車検を切る」という交渉の仕方が本当に買取額の減少を招く可能性もあります。
この線引きはブログ記事をご覧になられただけではまず無理なので、今回の内容は主に本来の価値は二束三文の古めの車。
それが輸出によって10万15万と価値が残っているという場合に最も適した手法と思っておきましょう。
以上、車の価値が下がってきたってやれることはありますから、知識フル活用でちょっとでも高い売却を目指してみて下さいね!