車売却前に知っておくべき知識

廃車だけどあんたそれはちょっと違うでしょ・・・って話

投稿日:2017年7月28日 更新日:

これはもう何年も前。

まだ私が買取店勤務時代のスタッフだった頃のお話です。

 

とある日、やたらと派手なミニバンに乗って30代前半くらいのお兄さんが来店されました。

 

「車を売ろうと思ってるんですが~」という良くある挨拶を交わしながらとりあえず店内へ誘導。

車の型がかなり古めだったので、これは厳しい商談になりそうだぜ・・・とビクビクしておりました。

 

お客さんに受付表を書いてもらいつつ、いそいそと査定の準備をし、書き終わったかなーとチラ見したらまだ書いてる×3くらい繰り返し・・・

そして挨拶と合わせて受付表を見る。

 

はぅううう!

 

やっぱりそうですよねぇ・・・

 

一生懸命書いたであろうアピールポイントがもうビッシリ。

 

記載枠を完全にはみ出すくらいにビッシリ。

 

「うわー随分色々と弄られたんですね~・・・」

と褒めてはいない誉め言葉を言うと

 

「自分車弄るの好きなんですよ~余裕で100万以上は掛けちゃいましたね~へっへへ」と。

 

そんな眩しい笑顔を私に見せないで!!

 

今でも覚えている100万という言葉。

 

重い。重過ぎる。

 

どう考えても、どの角度から見ても、逆さまに見ても、車の価値より遥かに高い・・・

 

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しかしだ。

 

これを言うのはまだ早い。

 

ある意味私にとっての切り札である(自分がブッタ切られて激オコ帰りしてしまう可能性があるため)

とりあえず車を見てからにしようと、記載して貰った受付表片手に査定を行う。

 

うはー・・・

 

今だに覚えているものだけでも一応書いとこう。

見ている人が参考になるかもしれませんしね。

 

・なぜかミニバンなのに運転席がレカロのバケットシート(腰が悪かったのかな?)

・ヘッドレスト、バイザーモニター、バックミラーモニターなどモニター沢山

・アンプ、社外スピーカーいっぱい、ウーファー(おまけにデッドニング加工まで)

・車高調、当時大きかったアルミ(たしか19インチくらい)、派手だけど状態がそこそこ綺麗なエアロ

・マフラー、なぜかエアクリやタワーバー、パイプ関連もチラホラ

その他、社外のウィンカーミラーとかインパネを独自に加工してたりとか・・・

 

一目であぁ~お金は掛けてますよね~掛けちゃいましたね~と分かる弄り方をしておりました。

 

そして止めの距離数。

 

17万キロ!!

 

これはあかん。どうにもならん。廃車確定である。

 

そして商談開始早々・・・私は切り札って何だろう?というくらい簡単に切り札を使うことになる。

 

私「お待たせしました・・・頂いた情報を基に価格算出を行ってみたんですが・・・」

私「すいませんお金を掛けられているのは分かるんですけど、もう年式と距離数から再販を行うことが出来ないようなんです」

客「ん?つまり?どゆこと?」

私「つまり・・・廃車で・・・お値段をお付けするのが難しいということです・・・」

 

ピクピクしていた。

 

私が。

 

お金を掛けているのは間違い無い。

 

それがニュアンスで0円。0円と来たもんだ(ほんとは1万円くらいまで出せるけど)

 

逆の立場だったら茫然としてしまうし、人によっては舐められてると憤慨する人もいるかもしれない。

 

今なら「そんなもんだ」と堂々とお客さんの目を見て言えるけど、当時はまだまだピュアだったので下を向いて受付表をボーッと眺めてた記憶があります。

 

なぜか私が罪悪感でいっぱい。そんな状況。

 

 

するとお客さんから予想外の言葉が・・・

 

客「やっぱりそうですよね~古いし距離走ってますもんねぇ」

私「へぁ?」

客「私、整備の人間なんでまぁ予想はついてたんですよ。だからちょっと失敗したなーって」

 

この時、「この人は神かっ!!」って思った。

 

ここまで物分かりの良い人は中々いない。

というかまずいない。

 

大なり小なり「こんなに装備付いてるのに?」「装備の分は上乗せされないの?」「これだけ金掛けて廃車ってことはないでしょ?」と駄々を捏ねる。

それが廃車をすんなり受け入れてくれるなんて・・・

 

もうMAX出す!1万円くらいだけど出す!!そんな晴れやな気分になっていた私。

 

しかし・・・ここから話がおかしな方向になっていく。

 

客「廃車ってことは付いてる装備はあまり関係ないってことですよね?」

私「そうですね・・・残念ですがプラスになりません」

客「それでは付けるの自分でやりましたし、外せるものは自分で外してしまって大丈夫ですか?」

私「もちろん!ご自身でされるなら大丈夫ですよ!」

客「廃車ならタイヤも外したいんですけど、替えのタイヤがないんですよ。それでも大丈夫ですか?」

私「提携している解体業者に直接取りに行ってもらうようにすれば・・・なんとかなりますね」

客「レカロシートを外してもなんとかなります?」

私「どのみち釣り上げるんで、釣り上げやすい場所に車を配置しといて貰えば席が無くても・・・はい」

客「ってことはドアとかパネル類も大丈夫ですよね。あれ地味に売れるんですよ」

私「へ?うーんさすがにそこまでの経験はありませんが・・・たぶん・・・」

客「エンジンもいいですか?うち重整備も出来るんで」

 

私「は???」

 

まだその当時はそこまで車業界歴が長くなかった。

ここまで取り外そうとする人は・・・自分以外の商談を含めても初めての経験。

 

この人・・・なんかおかしいぞ・・・?

 

カイジの背景のようにザワザワしてくる。

 

すぐさま事務所に戻って当時の支店長に確認。

 

私「エンジン無くても廃車業者って車買ってくれるんですか?」

 

支店長「知らねーよ。つーかそんな何も無い粗大ゴミ誰がいるんだよ。バカなの?」

 

へぐっ・・・

 

で、ですよねー・・・

 

ってかなんで俺が怒られてるんだ・・・?

 

俺が怒られた理由はなんだ・・・?

 

そうか・・・ちょっと前まで、神っ!!って思っていたあいつのせいか・・・?

 

すぐ様お客さんのところに戻り

私「さすがにエンジンまで無い粗大ゴミはいらないそうです」

 

あ、粗大ゴミって言っちゃった。ちょー冷めた顔して言っちゃった。でも間違えではない。

 

客「はは・・・ですよねさすがに調子に乗り過ぎました・・・」

 

▽ ▽ ▽

 

結局ドアやらボンネットやら・・・

スッカスカの風通しが恐ろしく良い状態となった車を廃車業者は引き取っていきました。

 

ちなみに・・・これでも取引金額は変わらなかった。

 

そう、長々と書きましたが私が言いたかったのはこれ。

 

金額変わらなかった!!!

 

まさに外し得、労力に見合うのかはよく分からないけど外し得である。

 

 

 

というわけで、ここからは経験に元ずく「廃車はどこまでバラしていいのか」に関しては軽くお伝えしていきます(なげーよとか言わないで

 

まず、ナビやらスピーカーやらモニターやら・・・

電装関係は全部オッケー(経験済み)

 

内部パネル、椅子、ハンドルとか・・・

内装類も全部オッケー(経験済み)

 

ヘッドライト、エアロ、アルミ、足回り、マフラーなど・・・

外装パーツ類、これも全部オッケー(経験済み)

 

とりあえずここまでは金額が変わらないことは何度も経験しています。

 

で、問題はここから。

今回の実例にあったドアやらボンネットの類。

 

当時は変わらなかったと思いますが、ちょっとだけ、ちょっとだけここら辺は怪しい。

 

廃車の価値は排気量で決まりますが、その裏には“鉄の重量”という設定が隠れています。

 

単純に言えば排気量が重いほど鉄の重量が重い。

なので価値も高くなるということです。

 

中には重量をチェックする解体業者も存在するため、ドアパネル1枚くらいなら問題無いでしょうが、全部取っ払うとかはちょっと料金下がる可能性もあるかもしれませんのでご注意下さい。

まぁそんなことする人ほとんどいないと思いますが(笑)

 

ヤフオクとかで売りたい人用ですね。

 

そしてエンジンが無い車。

 

これは本来の解体基準を満たさなくなります。

 

過去に数度経験がありますが、料金をガッツリ下げられるか引き取り拒否を食らいました。

 

私のところは重整備が出来ないので自ら外すことはありませんけど、たまに部品取り車両でエンジン無い車とかあるんですよね。

エンジンが無い=ほんとの粗大ゴミと認定される可能性がありますので、古いスポーツ系の車なんか乗ってる人がたまに該当しますけど気を付けて下さいね。

壊れていてもいいんで、乗せ換えたい場合は取り外した車両に戻すことをお勧めします。

 

 

 

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  1. あすかパパ より:

    こんにちは。
    そういう方、やっぱりいるんですね(笑)
    自分もほぼその一人なので(笑)
    昨年までセカンドカーとして乗っていた初代のbB。
    友人に頼んでオークション落札してもらい、落札金額からして恐らく廃車レベルで下取りしたであろう車両。
    豪華にナビ、17インチ、車高調・・・とまぁいろいろ付いてた後期とは言え15万キロ(笑)

    信号無視の車両に側面からぶつけられて修理金額が50万となり廃車する事にしましたが、友人の廃車買取業者に買取を依頼した時に社外パーツは全て自分で外して買い取ってもらいました(笑)
    保険金、リースで貸した副業利益、外したパーツの売却益でそこそこの利益を叩き出してくれました(笑)

    ロシア輸出バンザイだった頃も車屋の友人と一緒にトヨタの1JZターボ事故車引き取りで相当遊ばせて貰いました(笑)

    • にー より:

      ここまで外すことを望む方は超レアですね(笑)
      ご自身でどこまで外せるかという技量が関わってきますので、外したいなと思ってもそのままにしちゃう方も多いと思います。
      お知り合いにバラすの得意な人がいれば共同でやっても良いと思うんですけどね~それこそお金が数倍になる可能性も秘めていますからね!

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管理人 にー 

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ブロガー&カーコンサルタントとして、いかに損をせずに車と向き合っていけるかを色々な視点から解説しています。

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