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車売却後の二重査定の解説とその範囲一覧【プロが解説】

投稿日:2015年10月27日 更新日:

前回申告義務違反と瑕疵担保責任について説明をしましたが、その範囲がどこまで及ぶのかを解説します。

 

が、その前に二重査定について少し触れておきます。

 

よくこの二重査定について恐怖を感じ調べたり、その対応をする会社を省いたりとしている方も多いと思います。

 

 

ではまず二重査定とは何なのか?

 

これは買取成立後、その車両を店舗に引き上げた後に、別の人間が再度車のチェックを行うことを指します。

 

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例えば50万円で買取成立、車を渡すのは1週間後だったとします。

そうするとその1週間後、車を渡した後に再度チェックが入るということですね。

買取店側としては、契約後の一定期間ユーザーが乗っているため、査定時の状態と相違が無いかの確認をする。

というのが名目になりますが、あくまでそれはおまけであって

 

実際は短い査定時間でのチェック漏れ、ミスが無いかの確認が本来の目的です。

 

なので契約⇒そのまま車を引き渡す、お店に置いていくとなっても二重査定をする会社であれば普通にします。

また二重査定をその店舗、会社では行わず、オークションの検査機関に委ねる会社も多いです。

というかこれが基本ですね。

 

ここでセーフならセーフ、アウトならアウトー!みたいな。

 

 

そして、結果アウトだった場合・・・

 

例えば「修復歴」に該当したため50万円の買取でしたが20万円減額をさせて頂きます・・・

と連絡が入るわけです。

 

 

 

申告義務違反、瑕疵担保責任、二重査定といろいろ小難しい単語が並んできましたが、難しく考える必要はありません。

 

重要なのは売却後にどのようなケースで減額対応、もしくは返却対応が入るのか。

 

ユーザーにとっての一番はここです。

 

 

長くなりますが皆さんが気になるであろう箇所について、過去記事との重複もありますがそれぞれ解説していきますので確認してみて下さい。

 

減額、返却項目一覧

①内外装キズ凹み

②重要機関系(エンジンやミッション不良など)

③それ以外の機関、パーツ類

④修復歴

⑤冠水歴、災害歴

⑥メーター改ざん

⑦ニコイチ、盗難車などなど

 

①内外装キズ凹み

それでは項目別に解説していきます。

 

まず内外装の傷や凹みですが、これは減額対応にはなりません。

 

もちろん契約後、一定期間乗っている最中にぶつければそれは減額です。

ユーザー過失100%ですからね。

 

しかし査定時に取り損ねた傷やシートの焦げ穴などは、二重査定の結果発覚してもそれは明らかにスタッフのミスですから大丈夫です。

瑕疵担保責任にある「隠れたる瑕疵(傷)」という法律の用語がありますが、そもそも隠れていませんからね(笑)

ただ夜の査定などで営業マンから「どこかガリっとやっちゃったりってあります?」と聞かれたら、それはちゃんと答えましょう。

 

小傷まで言う必要はありませんが目立つ傷は言わないと後々が面倒になりますので。

 

聞かれたら正直に答えるが車売却の基本です。

 

ただここは聞かれなければ自分から言う必要もありません。

見れば分かりますので。

 

 

②重要機関系(エンジンやミッション不良など)

重要機関系パーツといってもしっくりこないかもしれませんが

 

単純に走る、止まる、曲がるという車に必ずあるべき機能を司るパーツと認識して下さい。

 

止まるはさすがに止まらないと大事件なので、私自身もそこが後々壊れていたという経験は無いですが(その前に死んでるかもしれませんし)走る曲がるの部分はちょいちょいありますね。

 

よくあるのはエンジン、ミッションです。

 

例えばエンジンから異音がするとなった場合、症状がエンジンが温まってから出ることもありますし、不定期になるケースもあります。

ミッションも60キロ以上出して初めて4速がおかしい、切り替わらないなどが分かるケースもあります。

当然査定時にそんな速度で走ることはありませんので気付けません。

 

こうなるとまず減額対応が入ります。

 

修理費用自体がしょうがないかで済む内容ではないですしね。

 

 

車屋視点からお話しすれば、ここら辺はさすがに素人でも乗ってれば分かるでしょというのが買取店側の言い分です。

なら、何故査定時に言ってくれないんだと・・・

これは私もその通りだと思ってしまいます。

 

中古車買う時に同じことされたら嫌ですよね?

 

どうせバレるんですから、だったら先に言っときましょうということです。

 

また曲がるの要素になるパワーステアリングや足回りの不調もケースとしては多いです。

 

ただここは目を瞑る会社もあります。

 

明らかに異音がしていれば気付きますし、費用が輸入車じゃ無ければそこまでというのもあるので、スタッフ側の落ち度もあるという認識です。

しかしするところはします。

要は買取の金額次第ということです(その修理費用で赤字になるレベルなら言うケースが多い)

 

気になるようであれば事前に言いましょう。

言って値段が下がる心配より、後々文句を言われる心配をした方がいいです。

 

そちらの方が遥かに労力と費用がかかったりします。

 

 

③それ以外の機関、パーツ類

②に該当しないパーツです。

 

壊れてても走行上には支障がない部分という判断でおおよそ問題ありません。

 

例を挙げますとライトが片側切れてるとか、電動格納ミラーが片側動かないとか、パワーウィンドウのスイッチ壊れてるとか・・・

また内装で言えばシガーソケットが壊れているとか、小物入れの蓋が閉まらないとか、室内灯が付かないとか。

 

ここら辺の細かい部分は基本減額対応などはありません。

 

査定時に全ての動作確認が行えるほどの余裕はありませんが、このくらいならしょうがないだろと思ってくれます。

ここら辺が瑕疵担保責任に該当しない部分ということですね。

 

ただナビ、サンルーフ。

この2点だけは別と思った方がいいです。

 

もちろんベースの価値によりますので20~30万くらいの買取車両ならオークションではそこまでの影響が無いので何も言わないでしょう。

ただ200万あたりを超えてくるとサンルーフが動かないだけで10万くらいは余裕で変動します。

ナビもそこまでじゃないですが変動額が大きいです。

 

結局は金額です。

目を瞑れる範疇の費用であれば目を瞑りますし、逆に損害額が多いとなれば後から来る可能性が高くなります。

 

 

④修復歴

修復歴は会社によります。

 

修復歴の見逃しをスタッフのミスとしている会社は基本的には減額など無しです。

 

逆にどんな単価でも修復歴は必ず減額をする(厳密に言えば減額の提案をする)会社もあります。

 

この部分はユーザー側へ商談もしくは契約時に説明が入るはずです。

大手でも修復歴による減額をしない会社はありますので、後から何か言われるのは嫌だなと思ったら修復歴による減額対応をしない会社を予め選びましょう。

 

ただ・・・

過去にぶつけたかどうかは必ずと言っていいほど商談時に確認が入ります。

いくら減額をしない会社だからと言って嘘は付くべきではありません。

基本減額をしない会社でも、新車で買ったワンオーナー車であれば「明らかな申告義務違反」として減額するケースもありますので。

 

 

⑤冠水歴、災害歴

別記事でも書きましたがこれはほぼ100%バレたら減額or返却されると思ってください。

 

いや言い過ぎました。

価値が高い車両であればほぼ来ます。

逆に0~10万くらいの価値の車なら大丈夫でしょう(たぶん)

 

災害歴(火災、消火器散布)は早々あるものではないので置いておきますが冠水歴の方です。

 

真水ではまずバレませんが海水は本当に数年後でもバレたら来ます。

 

買取側の損失レベルがとんでもない金額ですので。

 

 

仮にあなたが偽って、200万円で冠水車を正常な状態として売りました。

そして整備、部品の取り寄せ、改造なんかもして総額300万円でユーザーが乗ることになりました。

そのユーザーが乗って2年後、故障が原因で冠水車と判明しました。

 

これ、偽ったあなたの元へ全ての費用請求が入る可能性があります。

 

買取店がその費用請求を受けますので。

200万返してくれ、これだけの話ではありません。

 

あなたが偽らなかったらこんな費用は発生しなかったということで300万円+αの費用請求がきます。

 

怪しいなら必ず自分から言いましょう。

 

言えば申告義務は果たしています。

 

それをどう判断するかは買取店側の問題です。

まぁこうは書きましたが、以前の震災のような状況にならない限り海水に浸かるなんてことはまず無いと思いますけどね。

 

 

それ以外の塩害、雹害は・・・

 

塩害・・・そもそもフレーム部分に穴が開くのは相応の経過年数が経っている=価値がすでに低い=後から何か言われる可能性は極めて低い

 

雹害・・・高年式でも起こり得るため会社によっては対応(数十万値段が変わる可能性があるため)

 

となります。

 

雹害は目で見て分かる部分ではありますが、ハイルーフ車両などは出張査定だと見えなかったりします。

身を守るという意味では脚立などを用意しておくなりの自己防衛を計った方が本当は良い部分です。

ただ経過年数が相応に経っていればそこまで影響はありませんので問題ありません。

 

また数年後に連絡が・・・なんてこともありません。

 

 

⑥メーター交換

メーターの交換や実走行を偽る改ざん。

これもほぼ100%減額か返却が来ます。

来ないのは距離によって値段の変動が無い輸出向け車両、もしくはかなり価値の少ない低い車両くらいです。

数十万単位の売却金額になる車両は申告をしないと来ますので注意して下さい。

このメーター交換も発覚した際の損失額が非常に大きいですからね。

身に覚えがあるなら素直に申告しときましょう。

その時に記録簿などの交換を証明する用紙を事前に用意しておくとベストです。

 

 

⑦ニコイチ、盗難車などなど

減額では無く100%返却ですね。

盗難車の場合は返却と言っても返却先が別でしょうが・・・

 

ちなみにニコイチは同じ型の車同士を前後だったり左右だったりで合体させます。

合体ロボットで1体凄いの出来上がりましたっていう絵を想像して下さい。

 

それです。

 

普通じゃないです(笑)

 

ただ・・・分かってましたなんていうお客様は今まで会ったことないです・・・

 

 

 

 

今回は車の内容によって減額or返却対応がある可能性を一覧にしましたが、車に関係無くあなたの諸事情で減額、返却されるケースもありますので、それは次回にご説明します。

 

 

とりあえず嘘は付かないこと!

 

 

素人なわけですから全部事細かに説明する必要はありません。

 

仮にぶつけていたとして「ぶつけた経験がありますか?」と聞かれたら「分かりません、ありません」では無く

 

「事故かは分かりませんけど後ろ側は直しました」

 

こんな感じでいいんです。

 

後は買取店が判断しますし、それで後々修復歴じゃないか!と言われてもそこは申告義務を果たしています。

減額請求などはお角違いなので、相手も引かないようであれば出るとこ出てやりましょう。

相手が負けます。

その前に上の人間が穏便に済ませてくれと折れますけどね(笑)

 

 

そして勘違いしてはならないのが

 

買取店も好んで減額or返却対応なんて行いません。

 

 

言われる方もストレスですが、言う方も相当なストレスです。

嫌な話をしなければならないわけですから、受話器片手に憂鬱になりますし相応の覚悟を持って電話しています。

だからこそ損失が大したレベルでなければ、出来るけどしないという選択を取ります。

 

お互い気もち良く取引が出来るならそれにこしたことはありませんよね。

 

 

あなたが高くしたいという気持ち・・・それがに繋がらないことを祈っております。

 

次回 車を売却したつもりが・・・ユーザー事情による減額、返却の可能性

 

 

 

   

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