さーて今回も新しい売却システムを検証していきますよ!
今回調査するのはDMMAUTOです。
一見有名なDMMグループが車屋を始めたようなネーミングですけど、ホームページを見ていくと中身はアプリを利用した買取専門会社。
僅か3分で査定価格が算出され、納得出来ればそのまま売却に移るという対面一切無しのアプリ完結システムのようですね。
算出が3分で終わるんですから実査定も当然無し。
自己申告と送る画像が全ての世界となります。
ふふふ・・・
この時点で買取屋の端くれである私は笑いが込み上げてきますが・・・
もしかしたら世紀の神アプリかもしれませんので、出来る限りの検証、分析をしていきましょう。
注)今回DMMオートのシステムと私の環境の問題で、実検証より分析がメインとなります。ご了承を!
【売却までの流れ】
スマートフォンで「DMMオート」と検索、アプリをダウンロードします。
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登録しなくてもすぐ査定に入れますので、まずは車の画像を撮影しましょう(画像はナンバーが写った状態であれば1枚で大丈夫というか、それ以上登録出来ません)
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メーターを撮影しましょう(オドメーターが表示されている状態にします)
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車検証を撮影しましょう(車検証全体と右下のバーコードの2枚を順番に写します)
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計4枚の写真を撮り終えたら次は問診票です。
・車体カラー(思いのほか種類が少ない・・・)
・ハンドル位置
・走行距離数(随分大枠な設定です)
・車の状態(4種の中から選びます。10万以上かけて直した板金や交換などの外装修理と、修復歴がなぜか同じ枠にいる不思議仕様です)
・車検証所有者欄の名前
・車の保管場所(都道府県単位)
以上の6項目を選択、もしくは入力すれば終了となり、あっという間にAIが割り出し可能な車種は算出結果が表示されます。
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ちなみに今回小手調べと思って入力した我が愛機、15年落ちくらいの国産コンパクトカーで車検1年強残しのスーパー優秀な代車(ナビ付き)は、14000円というお値段となりました。
同じくらい車検を残した軽自動車を廃車にするよりも安い・・・なんとも切ない結果です。
私は車検を使い切ったら廃車業者にお願いすることにします。
そして同じような流れで、100万以上の価値はある会社の在庫車両を入力すると、なんと今度は登録が出来ません。
良く見ると「法人名義の車はダメ」って書いてある。
んんん?
法人名義がダメなのはなんでだろう??
というか法人名義の車しかまともな車無いんですけど!?
買い取ったお客さん名義の車は一応あるけど、さすがに個人情報渡すサービスに勝手に登録出来ないしこれは厳しい・・・
その他にも
特に買取店では普通に売却出来る
・所有者死亡
・所有者と使用車名義が違う車
・メーター改ざん車
・車検に通らないレベルの改造車
・事業用ナンバー(黒とか緑のナンバー)
・リサイクル料未預託の車
ここら辺はDMMオートだとダメなようなので、一般的な買取可能な車屋に比べるとかなり売却条件が厳しいですね(他サイトだと平行輸入車もダメという情報もある)
うーん・・・
個人名義の車なんてポンコツしか無いので結果は同じだろうし、これ以上の検証は私には無理なようです。
数台の検証を期待されていた方は大変申し訳ない・・・
ただまぁ・・・
情報提供の中身と流れは分かりましたし、個人的にはもうこれで利用価値があるかないかは分かったのでもう十分です。
あ、一応算出と同時に金額固定期間となる1週間のカウントダウンが始まりますので、リミット内に「売却手続きに進む」を押せば、きっとどこかの陸送会社が引き取りにでも来てくれるのでしょう。
なんだろうか。
まったく知らなかった分、面白いシステムなのかな?とちょっと期待するところもあったんですけど、この伝える情報の大雑把さは良くあるネット上の簡易査定。
これと中身は同じようなものですね。
本来それは本サービスに導入させるための、一つのサブ的な無料サービスという位置付けでしたが(だから的外れな回答でも許される部分はあったと思う)
それを大胆にも本気で買取しちゃうぜってのがこのシステム。
実現させたDMMさんはある意味凄いと思います。
ではここからは、なぜ検証しなくても答えが分かるのか。
どの部分が高額査定に向いていないのかを車屋として客観的に説明していきます。
①車両の状態を把握するデータ(画像)1枚でなんとかしようとしてるのは無理がある
このシステムは上でも書きましたが、そもそも複数枚登録が出来ません。
1枚撮ったら次のメーター画像の方に勝手に入っていってしまいます。
今回はフロント部分から撮りましたけど、もし後方に大きな損傷があったらどうやって把握するんですか?
その度合いによって修理費用も変わると思うんですけど、どうやって判別するんですか?
前方のバンパーがボロボロの状態だったら、後方からナンバーが写るように撮ればそれでOKってことですよね?
当ブログ内の有料査定サービスでは必要があれば10枚以上の内外装の画像を頂いたりしますが、それでも小規模~A4サイズくらいの中規模の損傷は引きの画像だけだと判別がかなり困難です。
接写して貰ってやっとなんとか分かるくらいなので、画像の解像度が上がったって傷は簡単に判別出来ません。
ということはあれですよね?
そんな傷の5個や10個くらいでは赤字にならないくらい、相当に余裕を持った安全圏の価格を算出しているってことですよね?
これではどうやっても高額売却には結び付きません。
車両画像を撮らせる目的は、“車検証と車体のナンバーが一致しているかどうか”を判別するためだけに使用していると思われます(要は実在する車でDMM側が買い取れるかどうかの判断)
②装備を伝える項目が無い
DMMオートに伝える情報は上記の流れの通りで、装備に関する細かい情報を伝える枠はありません。
もちろん装備全てに付加価値は入るわけではありませんが、ナビ、サンルーフ、レザーシートなどの重要装備はどう判別しているのでしょう?
可能性として、車検を読み取った際に「類別区分番号」を読み取っているので、百歩譲ってメーカーOP系はシステムがこの番号から判別しているかもしれません。
ただディーラーOPや後から量販店で揃えた装備は車検証発行後に工場外で付けるわけですから、ナビが付いていようが、エアロが付いていようがそんなの関係無い金額が出てくることになります。
当然相手は営利目的の企業なわけですから・・・
付いているかも?なんて値段では無く、まったく付いていないことが前提で算出されると思うのが普通のことだと思います(車内画像を送る項目もありませんしね)
③走行距離数がどんぶり勘定過ぎる
上の画像を見てもお分かりの通り、距離数の枠が
0~20000km
20000km~40000km
40000km~60000km
このようにいくらなんでも大枠過ぎると思います。
どうやってこれで価格算出してるんでしょう?
20000kmと40000kmは同じ価値なんですかね?
オド表示の画像も送っているので最終判断はその数値って可能性もありますけど、それなら何のためにこの大枠な項目作ってるの?って思いますし・・・
これなら装備の項目にでも差し替えた方が宜しいんじゃないかなと思います。
④修復歴と板金歴が同じ扱いはさすがに無い
ここまでいくとギャグにしか見えません。
例えばそうですね・・・3年落ち程度で3万kmくらいの車があったとしましょう。
内輪差でサイドのステップ部分や、ドア、フェンダーあたりを広く浅く気付つけてしまったとします。
この場合浅ければ修復歴には該当しません。
よくある広範囲の傷や凹みです。
そしてこれを綺麗に、10万以上かけて直したとします(3面~4面綺麗に修理すれば10万くらいかかります)
そうすると車の評価点は他が問題無ければ4~4.5点。
何も無い車よりは価値が下がりますが、それでも中古車販売店は「修復歴車」として販売しなくて済みますので、修復歴より断然高い価値で車を買い付けます。
対して前の車に豪快に突っ込み、後方車両も止まれず後ろからも突っ込まれた前後ダブルの事故車両。
これを200万掛けて直し、見た目は綺麗になったとしてもやっぱり事故車、修復歴車です。
当たり前のように数十万、時には数百万単位で価値を落とすのは、当ブログ内のリセール記事をご覧の方ならお分かりかと思います。
でもDMMオートの場合、この2パターンは同じです。
扱いが同じとなった場合、営利目的の企業はどちらを基準に価格の算定をすると思いますか?
あなたが経営者なら利益を出すために、損失を被らないようにどうされますか?
これで本当に高額売却が実現するようなら、DMMオートは数十万単位の赤字買取を量産することになります。
一言で言ってしまえば・・・ビックリするくらいガバガバです。
正直これ以外にもツッコミどころはいっぱいあります。
あり過ぎてツッコミきれません。
車販売事業者向けに、一般ユーザーと同じ仕組みでサービス提供している場合じゃないと思います(一般の方ならまだしも、プロ相手にガバガバシステム提供してどうするんだろう)
過去に調査した新しい売却サービスは、万能ではないにしても、何かしらこの条件なら使える!っていう利用者がお得になれるポイントがあったんだけどなぁ・・・
残念ながらDMMオートはゼロ。
利用価値がまったく見えません。
低単価や被災車両・・・解体屋に電話して来て貰えば、家にいながらももっと高い
国内需要向け大衆車・・・提供データが少な過ぎるので利益抜かれておしまい
海外需要向け大衆車・・・さらに詳しい情報が必要なのにその項目が無いので、国内需要よりさらに危険
マイナー車、希少車・・・データ量が少ないとそもそも算出されないので売るどうこう以前の問題
安くても楽さを極めたい・・・ディーラーや販売店で納車時に入れ替えればそれが一番楽なんじゃ?
なんだ・・・どのパターンなら活用出来るんだ・・・
あ、これか!
親から車を貰いました。
でも必要性があまり無く、新たに車を買う予定もありません。
正直言えば維持費が掛かるし車が邪魔です。
なので売るだけなんですけど出不精で、身内以外の人と話すのも苦手なので会話は極力避けたいです。
お金はそこまで困ってないので、今日明日に現金化したいというわけではありません。
貰い物なので安くてもいいんです。楽に処分出来ればそれで良いんです・・・
捻りだしては見たけどめっちゃ限定的・・・
仕入れた車の売却先がエンドユーザーでは無い(ガリバーフリマはこれ)
販売業者というわけでも無い(ユーカーパックやカープライスはこれ)
自社で直接販売するわけでも無い(大手買取店の一部はこれ)
ということは推測ではありますが、全てが解体かオークション転売を前提にしていると思われます。
何かしら特徴のある流通先があるなら、ホームページ上でその内容をアピールしてるでしょうからね。
これが答えかなと・・・思います。
※今後も色々な売却システムが出てくると思いますが、実査定無しで“簡単”手軽”短時間”を推す売却システムはブログを見て頂いている方のメリットに繋がらないため検証はしません。
検証しなくても答えが分かります。
もし実査定無しでも、ユーザビリティ度外視でそれに限りなく近い情報提供を必要とするサービスがあった場合。
これは当たりの可能性が出てきますので、そういったサービスの検証であれば時間を見つけて出来る限りのことはやってみたいと思います。
おまけ
今回はだいぶ辛口になってしまい、見ていて気分の悪い思いをした方がいらっしゃいましたらすいません。
車屋として良い物は良い、ダメな物はダメという検証をしていたらこのような結果になってしまいました。
ある意味理想というか、車売却の最終着地点みたいなシステムではあると思うんですけどね(これでエンドユーザーに繋げれば最強)
ただ今のAIというか、価格を自動算出するシステムだとこの情報量じゃ絶対に無理。
板金や事故歴、今ある傷に至るまで、人ではなく乗っている車が誤認無く認識して国内でデータ共有可能なシステムが出来れば実現しそうな気がしなくも無いけど・・・(超妄想です)
まぁなったって自動運転よりもさらにさらに先のお話でしょうから、人工知能がとんでもないことになるまでは大人しく
高額売却=効率も求めることは出来るけど、それなりに自分が頑張らないといけない
という認識で高値売却を目指していきましょう。
そして今回調査して、大企業の力って怖いなと改めて思いました。
車屋から見ればどうやったって今の段階じゃ実現不可能な夢物語のシステム。
でもそれが、大きな看板と大きな広告費用によって、様々なメディアに取り上げられる。
メディアは売買の専門家でも無いので中身は分からず、表面上のメリットを伝える。
そして食いついてしまう人が実際に出てくると・・・
DMMにはアダルティーな方面でお世話になっているので、まったく恨みはありません。
ただやるにはまだまだ早過ぎたんじゃないかなーと・・・
そんな気がします。
※試しで利用される方は、価格算出の段階から個人情報は渡りますのでご注意を。
提供しなければいけない画像は携帯の保存データから引っ張り出せませんので、加工無しの直撮りが前提となります。
【goo】
中古車に興味を持ったらこちらから。
気に入った車両は見積もり依頼をすると、販売店からメールで教えて貰えます(県外の場合は陸送費用など含めて)
表示されている価格だけで予算を組むのは大変危険です。
しっかり総額を確認した上で予算を組んでいきましょう。
中古車ならgoo-net(グーネット) 中古車情報 中古車検索
※一括査定ではありません
【カーセンサー】
売却を検討している方はこちらから。
高額売却に結び付きやすい地場企業や、車によっては県外の専門業者からも問い合わせが入ります。
極力聞いたことのある会社だけでなく、聞いたことの無い会社を選んで下さいね。
【ズバット車買取比較.com】
こちらも地場企業の参加率が高い一括査定サイトです。
オークション転売が主体の会社では無く、自店に在庫として並べる会社を見つけられるかがポイント。
小規模店、地場企業の方が営業力が無い&自社販売率が高いので、話がスムーズなことが多いですよ。
にー様、この検証シリーズで、車のリース利用のありなしを取り上げて頂きたいです。
リースですか~特に難しい要素はないですよ?
記事にすると中身が激薄になってしまうのでこの場で回答させて頂きますと、個人リースの場合は良くあるオートローンと同じレベル。
法人リースだけ自由に売れない縛りが発生するので注意が必要という認識です。
売却時にローンが理由で金額が下がることも無いのと一緒で、個人リースであれば目立つデメリットは無いですね!
買う側がちょっとめんどくせっって思うくらいです(笑)
例えば軽自動車ですと月1万で新車に乗れますという広告をよく見ます。
極端な話、毎年12万円支払えば毎年新車に乗れるの?って思ってしまうのですが、そうなのでしょうか?(ガソリン代は別)
車の購入経験はありますし、残価設定で購入したこともあるのですか、リースはイマイチよく分かっておらず、そもそもリースで毎年新車を乗り換えるということが可能なのかどうかもよく分かってない中での質問で申し訳ないのですが…。
ほうほうほう・・・
もし何か気になるサービスがあるようであれば検証はしますよ。
ただリース会社が予測している満期の設定価格が公表はされていないと思うので、損得の検証となると中途半端に終わって答えが出ない可能性がかなり高い気はします(笑)
基本はリース会社も営利目的ですから、満期の設定金額を本来の相場よりも結構安く設定してお得に見せるとかはやると思いますし、あとは契約期間ですかね。
数年に1度接点があるくらいなので詳しくはありませんが、オートローンのようにスムーズに清算して終わりという感じではありませんでした。
過去に解除はしたものの、違約金のような形で清算代金に上乗せとかは設定されている可能性があるかもしれません。
かず様
こんばんは
横から失礼します。
一度、いつ乗れなくなるかわからない高齢の親のためにリースを検討したことがあります。よくあるガソリンスタンド系のリースの場合、大概3年、5年、7年という契約期間があり、毎年代えるとすると途中解約になり、違約金がかかるものがほとんどです。軽自動車を毎月一万円というプランは恐らく、車両価格100万円未満で5年か7年契約かと思います。
リースは保険、税金、車検代込みの残価設定プランと考えた方がよいかと思います。ナビ、ETCなどのオプションでつけると別途リース代金がかかる上、満期を迎えても車両は自分のものにならないため、個人的には全く魅力を感じませんでした。満期を迎えて自分の名義にできるようなプランもありますが、その場合、最終的に車両価格の1.5倍くらいを払うことになると思います。
トータルで考えると、ディーラーで残価設定やローンで購入するほうがメリットある気がしました。
CREA様
ありがとうございます。
なるほど、リース契約とはそのような仕組みなのですね。
大変参考になりました。ありがとうございました。
おぉ・・・
めっちゃ詳しいですね!
リースにほとんど接点が無い私より全然凄い(笑)
車屋視点で言えば内容は良く分かっていないですけど、オートローン300~500台くらいに対して1台くらいの割合で個人リースという比率です。
それくらいに買取業していても個人リース契約の方が売りに来られることはほとんどありません。
法人リースは結構多いんですけどねぇ(買えないから本音は無くなって欲しい)
認知度なのかサービス内容なのか。
とにかく比率はかなり低いサービスです。