車売却前に知っておくべき知識

被害に合わないために 車屋の(計画)倒産について

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本日はネタ混じりではなく、真面目な注意喚起の記事になります。

 

車屋の(計画)倒産についてです。

 

当ブログの読者さんで被害に合われてしまった方がおりましたので、ご本人様の了承の元、どのような流れだったのか。

回避方法などについて考えてみたいと思います。

 

 

【流れ】

①一括査定で最も高額だったA社に3月9日に契約、車と必要書類をその日に預け、振込日は4/5となる

 

②予定日になっても振り込まれず、店舗に出向いて確認すると「他の売掛金を理由に来週には支払う」と言われる

 

③さらに待っても振り込まれず再度出向くと、「社長がいないから分からない」と逃げているとも取れる返答をされる

 

④怪しいと感じて弁護士を介入させるも、該当店舗からの返答、入金は無し

 

⑤6月に入って店舗を確認するともぬけの殻になっており、後日弁護士から「破産申告」していることが発覚

 

⑥該当店舗はフランチャイズ店だったようで、本社へ連絡するも「フランチャイズだから関係が無い」と取り合えって貰えず

 

⑦まったく関係の無い車屋で車の相談をしていると、オークション市場の取引相場から売却後すぐに該当車が取引されている事実が発覚する(要は現金化だけはすぐしている)

 

⑧その金額は諸々含めても買取金額にも到達していないため、初めから支払う気がなく、車と書類をもぎ取るための金額だったという疑惑が残る

 

このような流れになります。

 

被害に合われた方の損害は数百万円。

未だに返金されておらず、計画倒産なら刑事事件ですが証拠がどこまで揃えられるのか不明で、民事であれば破産して資産が無いということになるわけですから、無いところからお金を取り戻すことが出来ないということになるのだと思われます(弁護士さんもお手上げっぽい)

 

 

ではそもそも、査定依頼をしようとしている会社の(計画)倒産なんて事前に気付けるのか。

 

この点についてまず考えてみましょう。

って考えるまでもないか・・・これはまぁかなり無理がありますね。

連絡が取れないお客さんの車どこかで買い取ったんじゃないかと他店に在庫チェックしに行ったり、出張査定で色々な会社とバッティングしながら何社か潰れていくのを見てきましたけど・・・

より接点のある同業の人間が「あれ?あそこの会社いつの間にか潰れたの?」って感想を漏らすくらいなので、一般の方が事前に倒産の匂いが嗅ぎ取るなんてことは不可能に近いと思います。

中古車販売店なら敷地面積に対して在庫台数が極端に少ない場合、資金面が苦しくて在庫車を現金化している可能性があるので怪しいかも(あくまでかも)って思えるんですけどね。

 

となると気付ける可能性があるのは契約後。

 

ここにある程度絞られるかと思います。

ちなみに今回の事例の中で、同じ買取屋として明らかにおかしいと思うポイントは2ヵ所ですので、それぞれについて簡単に解説をしていきます。

 

 

車両&書類の引き渡し日から振込日までの期間が異常に長いこと

私が知る限り、後日の振込となった場合は車両と書類と渡してから銀行営業日で2~7日後くらいがよくある猶予期間で、それ以上というところはまず聞いたことがありません。

買取業とは系統が違うオークション代行になるとまた別ではありますけど、買取業であれば

 

「買い取った車をオークション、ないしは第三者へ売却完了した金額を元に支払われる」

 

ではなく

 

「買い取った車がオークション、ないしは第三者へ売却完了する前に支払われる」

 

これが普通です。

いくらで売れるか分からない中で買い取って支払い済ますから買取業なわけですしね(そうじゃなかったら委託とか代行ってニュアンスになる)

なのでそれが出来ない、振込日程にかなりの余裕を持たせているというのは、自転車操業中である可能性が高いか別の狙いがあるということにも繋がっていきます。

 

つまり売り主にとって売却リスクの非常に高い会社となるわけです。

 

 

・振込みがされず複数回出向いた際に、焦ってでもお金を用意しようとしていない

この点も人の良い方ほどお相手の言葉を無理やり飲み込んで我慢して・・・となりがちなのかもしれませんが、こんな展開になってしまったら十分に強く出ても良い場面です。

そもそも契約書に振込予定日は書かれてますので、買う側の『契約不履行』で契約破棄も可能な状況。

そんな中で、単純なミスで振込み忘れをしていた会社であれば相当に焦ります。

 

ちなみに過去に一度だけ、私がこの振込み忘れという最大のミスをやらかしたことがありますが・・・

その時お客様からは「今すぐ現金で持ってこい!出来ないなら契約破棄だ!」と言われ(当然と言えば当然)、私は半べそになりながら、私自身の口座から降ろしたお金を持っていった記憶があります。

そのくらいに振込予定日に支払いをしないことは、買う側からすれば「最大級にマズい!!!!!」と思うことですので、そんな状況で「まだ振り込めない」と呑気な態度を取っているようであれば確信犯で動いている可能性が高まります。

もしそんな事態に出くわしてしまった場合、「今すぐお金が用意出来ないなら車と書類を返してくれ」と問答無用で突き付けましょう。

振込予定日が当初から長く取られているようであれば既にそのお店に無い可能性が高いですが(オークションなりで現金化してしまっている)、1週間以内なら少なくとも車検証などの名義変更書類は高確率で店舗にありますので、書類だけ無理くり回収して相手に現金化させないという手を取ることも可能になります(第三者の名義にならないので車も返ってくる可能性が高い)

 

この2つが『売却はしたのにお金が振り込まれない』を回避する上でかなり重要な点だと思いますから、特に「振込日」を意識して売却を完了させるようにして下さいね。

逆にこの2ヵ所さえ問題無ければ、振り込まれないという問題はほぼクリア出来るはずです。

 

 

あ、ちなみにフランチャイズか直営店かまではそこまで意識する必要は無いと個人的に思います。

フランチャイズ店に務めたことが無いので

 

「会社が違うんだからこちらには関係無い」

 

と、一蹴する直営本社には少々驚きましたけどね・・・(大手全部がその対応かは分かりません)

ただフランチャイズ店だからこその良さ、メリットもあるので(社長がどんぶり勘定気味に買取金額出してくれるとか)、フランチャイズ店=ダメと査定対象外にしてしまうのは勿体ないお話です

実際にフランチャイズ店で在庫転換頻度が高く勝率の高いお店も存在しますし、その選別だと独自にやっている零細、小規模買取店なんかも候補から外さないといけなくなってしまいます。

 

会社規模の問題から、どうしても大手直営店と比較してしまえば資金面でショートの可能性が上がる、大手直営よりも身軽だから悪いことを考えるやつも出てくる。

だからこそ上記2つのポイントを意識してリスク回避をしっかり取りつつ、メリットも活かして高い売却を目指された方がプラスにはなり易いのかなと思います。

 

車屋に限らず、悪いやつは必ずどこかにはいるので無くなることはないでしょうが・・・

この記事でちょっとでも被害者が少なくなってくれれば幸いでございます。

 

 

おまけ

私自身は計画倒産なんぞさっぱりですが、過去に計画倒産をした車屋がいたのでなんとなく書きながら思い出しました。

そして思ったのが、計画倒産の場合悪さしてすぐ潰したり夜逃げしちゃダメなのかもしれません。

その人は店舗の電気付けて人を1~2人だけ置き、一定期間営業している風に見せていたと言ってたような気がします(今回の事例もやや破産申告までが長い)

払おうと努力したけど払えなかったという体裁を作るためなのかなんなのか。

2~3ヵ月くらいは営業している風に見せてから店舗を畳んでいたので、もし上記の2つでやらかしてしまった場合。

猶予期間が2ヵ月くらいと思っても良いかもしれませんね(まったくの専門外なので間違ってたらごめんなさい)

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執筆者:


  1. がたろう より:

    計画倒産恐るべしですね、というか犯罪なので恐ろしくて当然といえば当然なのか、、、
    ネットで車を買ったときは車がちゃんと登録されるまで、一括査定で大手以外に売ったとき(フランチャイズだと大手看板でも危ないのか?!)は金が払い込まれるまでは緊張します
    ぶっちゃけ防ぎようがないものなのかなと思いますが、引渡日と振込日が離れていたら警戒を最高にすべしと教訓を得ました
    そして、やはりそういう犯罪者はどう言っても書類返してくれないのかなとも思いました、ドロンしない限り、民事不介入とか言って警察動かなそうだし

    • にー より:

      大手の看板でもフランチャイズ店の規模によってはリスクは変わらないということになります。
      かと言って査定依頼前にわざわざそれぞれの会社調べてるのもかったるいですしね・・・

      それと言われてみれば書類は仮に店舗にあっても、狙ってやろうとしている相手なら返して貰えるか怪しいかもしれません。
      民事不介入とは言え、例えば買取商談でも粘りすぎれば警察を呼ばれますし警察は来ます(実体験)
      そこでヒヨってくれればなので、文句は言った方が絶対良いとは個人的に思いますよ。
      その手前の振り込み予定日までの期間を注意するのが一番だと思いますけどね!

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